同じメール送信サービスでも、送信IPがどの国にあるかによってDMARC準拠率には意味のある差が出ます。弊社のQ1 2026データセットでは、Amazonの準拠率は米国IPで99.8%、ドイツIPで96.5%と、同じベンダーでありながら3.3ポイントの開きがあります。Microsoftも同様で、アイルランドでは96.2%、英国では98.3%です。Googleはより均一ですが、それでもインドと米国で1.2ポイントの差があります。大手プロバイダー経由でメールを送信している場合、送信者のレピュテーションは、プロバイダー側がユーザーに代わって行うルーティングの判断に部分的に依存しているということです。
本記事では、DMARCeyeのQ1 2026業界レポートから読み取れる地域差の傾向を整理します。12種類すべてのチャートと方法論を含むレポート全文は、以下からダウンロードできます。
各メールを送信元IPの所有者からベンダー別に分類し、続いて各ベンダーの送信量を、IPが所在する国別に分割しました。Q1 2026に複数国にまたがる上位3社の準拠率の幅は、以下のとおりです。
単一ベンダーで最も大きい差はAmazonの3.3ポイント(米国対ドイツ)です。Microsoftは2.1ポイント(英国対アイルランド)、Googleは1.2ポイントで3社の中で最も均一です。いずれも壊滅的な差ではありませんが、配信性のぎりぎりのラインで運用している送信者にとっては、2〜3ポイントが受信トレイ着信とスパム振り分けの分かれ目になることもあります。
Q1のデータは差の存在を示しますが、特定の国がなぜ遅れているのか、あるいは先行しているのかは説明していません。以下の要因はデータセットから直接導かれた結論ではなく、顧客全般で観察されているパターンです。
ESPが地域別のIPプールを使っており、自社のアカウントが準拠率の弱い地域にルーティングされている場合、自社のメールはその地域のレピュテーションを一部引き継ぐことになります。実務上の影響は次のとおりです。
自社の状況がはっきりしないなら、両方のレコードを今すぐ確認しましょう。
自社の本物のメールがどの国・どのベンダーから送られているかを最も早く確認する方法は、DMARC集計レポートを読むことです。レポートには送信元のすべてのIPが記録されており、各IPからベンダーと地域をたどれます。2〜4週間分のレポートが集まれば、どの種類のメールでどの地域に依存しているかが明確になります。DMARCeyeの無料プランは1ドメインをカバーし、レポートを自動で収集します。多くの送信者は、自社のメールが1〜2社の大手ベンダー経由で送られていることに気付きます。実際、Q1 2026レポートではKlaviyoとAmazon SESの2社だけで、弊社データセットのメールの過半に署名していることもわかっています。
現時点でDMARCレポートが届いていない場合、手順は次のとおりです。レポート受信用のアドレスを記載したp=noneのDMARCレコードを公開し、レポートを待ち、それを読む。DMARC実装の完全ガイドでは一連の流れを網羅しています。GoogleとYahooの送信者要件でも、1日5,000通以上を送る送信者にはこの設定が前提になります。
同じベンダーの同じ製品でも、ルーティングされる地域のIP次第でDMARC準拠率は異なって見えることがあります。差自体は大きくはなく、最悪のケースでも2〜3ポイントですが、配信性の崖際で運用している送信者にとっては、それが届くか届かないかの境目になります。解決策は、認証問題全般を解決する方法と同じです。レポートを読み、自社が実際に依存している地域を把握し、すべての正規送信元で認証を引き締めることです。地域差は本物のシグナルですが、主要因ではありません。認証が正しければ、地域差はノイズです。認証が誤っていれば、地域差は最小の悩みにすぎません。